第24章 結※
冨岡は、ズルリと自身を引き抜いた。白濁の液と、血が入り混じり、布団に染みを作った。
「⋯⋯っ」
彼自身、こんな感覚は初めて味わった。意識が一瞬とび掛けたにも関わらず、ここ最近で一番身体が落ち着いていた。良い夢を見ている様な心地良さに包まれていた。
宇那手は、涙を流したまま、力無く横たわっている。
「火憐、動けるか」
「⋯⋯はい」
「湯を浴びて、着替えて来い。布団を変える。⋯⋯起き上がれるか?」
「はい⋯⋯っ?!」
彼女は上半身だけを起こし、腹を抑えて蹲ってしまった。
「火憐!」
「⋯⋯大丈夫です。何処が、どうして痛むのか、分かりますので。⋯⋯あの、義勇さん」
「なんだ」
「気が進まないかもしれませんが、しばらく傍にいてください。⋯⋯抱きしめて」
冨岡は、仕方なく宇那手を膝の上に抱いた。
「お前が汚れるぞ」
「私の方が汚れていると思うのですが?」
「それは、俺が中に──」
冨岡は、慌てて口を噤み、カッと頬を赤らめて視線を逸らした。
宇那手は微笑み、冨岡の顔に触れた。
「一晩中、抱くと言っていましたが、義勇さんは満足ですか?」
「⋯⋯足りない。だが、俺の欲求よりも、お前の方が重要だ。これ以上続ければ、身体を壊してしまう」
「じゃあ、また明日、ですね」
宇那手は、グッタリと力を抜いてしまった。
「師範、お風呂を沸かせます? 水をはった後、熱し続けて放置してください。多少熱くなりすぎても、水で割れば良いので。布団は──」
「そのくらい出来る。安心しろ」
冨岡はシーツを剥ぎ取ると、宇那手の身体を綺麗に拭いてやり、掛け布団で包んだ。自分は乱れた服装を正し、彼女の額に手を置いた。
「少し休め。後はなんとかする」
彼は宇那手を家に迎えて以来、久々に、家事と呼べる作業をこなした。