第23章 追憶の救済
「お前らは此処にいろ」
そう指示し、宇那手を追った。彼が目にしたのは、水の呼吸から、炎の呼吸に切り替え、造作もなく鬼の首をはねた宇那手の姿だった。
戦いを終え、冨岡を振り返った姿を見てから、初めて彼は、宇那手があの日助けた少女であることに気が付いた。
それから、彼は三日三晩、宇那手に付き纏われ、根負けし、継子として傍に置くと約束した。
「あの時は、殺されるかと思ったぞ」
冨岡は、本音を溢した。
「お前の気配は常軌を逸していた。俺に対する殺意さえ感じた」
「申し訳ございません! まさかあの程度の鬼に、柱が送られて来るとは考えていませんでしたので」
あの程度、とは、他の隊士が聞いたら気を失いそうだ。
「戻ったら、まず休め」
冨岡は、命令口調で言った。
「食事を摂り眠れ。今夜は長いからな」
「な⋯⋯長いのですか? 具体的にどの程度でしょう?」
「俺が飽きるまで」
多分、飽きることは無いな、と思いながら、冨岡は答えた。