第22章 最終選別※
宇那手は、幕の中を見渡した。
「環はどうしました?」
「食事も摂られ、隣の幕で眠っています。健康状態は良好です」
「そう⋯⋯。ありがとう」
宇那手は、かすれた声で答え、茣蓙に座り込んだ。死亡者の内、一人は鬼になり、残り二名は目の前で息を引き取った。まだ子供だった。
身体よりも、精神に傷を負い、宇那手は溜息を吐いた。
「宇那手様、冨岡様、一先ずお食事をお摂りください」
隠しは手早く器を並べた。あまねから貰った最後のおにぎりと、貝の具の味噌汁。
宇那手は、申し訳ない気持ちと、嘔吐感を堪えながら完食した。
すぐに横になったが、頭が痛くて眠れなかった。
「すみません。柳の樹皮のお薬をいただけませんか?」
「はい!」
隠はすぐに煎じた物を持って来た。宇那手が飲み干し、横になろうとした瞬間、冨岡が、彼女を抱きとめた。
「お前の意思は尊重しないと言ったな?」
「はい? ⋯⋯え?!」
宇那手は顔を真っ赤にした。何を考えているのか、冨岡は彼女の隊服のボタンを外し出したのだ。
「止めてください! 他の方が見ています」
「今、皆外へ行ったぞ」
「嫌! 駄目!!」
胸元に唇を押し付けられ、強く吸われたせいで、宇那手は仰け反った。
「あ⋯⋯やめっ⋯⋯」
冨岡は、何度も場所を変えて、時には歯を立てた。
「ひっ! ⋯⋯こ⋯⋯怖いです! 怖い⋯⋯! 嫌! 優しくして?」
宇那手の訴えに、冨岡の理性は弾け飛ぶ寸前になった。決して弱味を見せない宇那手が、目を潤ませ、懇願している。
「せめて、優しくしてください! 痛いのは嫌⋯⋯。戦いの時だけで良い」