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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第22章 最終選別※


 彼女がザクザク殺して回っても、何の意味も無いので、出来る限り鬼の気配を避けて歩いた。

 最初に救援を呼ばれたのは、日の出の二時間前。

「南南東! 桃色ノ袴ノ少女! 花ノ呼吸!」

 宇那手はすぐに走り出した。茂みを潜り抜け、気配を辿って駆け付けると、折れた刀を手にした少女がへたり込んでいた。

「もう⋯⋯無理っ⋯⋯」

 その目前では、六体の鬼が激しく言い争っている。彼女がすぐに殺されずに済んだのは、稀血だったからだ。

 宇那手は、一秒も経たずに全て斬り伏せ、少女に歩み寄った。

「立てる?」

「私⋯⋯私⋯⋯どうすればっ! ⋯⋯両親も鬼に殺されて⋯⋯私を引き取った親戚も⋯⋯皆⋯⋯。もう⋯⋯行く場所が⋯⋯」

「悪いけど、泣かれても面倒。質問に答えて。立って走れる?」

「⋯⋯はい」

「これまで何体の鬼を殺した?」

「⋯⋯十二」

 嘘の匂いはしなかった。彼女が、一定の実力を持っているのは、間違いない。しかし、まともな育手に出会えなかったのだろう。自分が何故鬼を引き寄せているのか、理解していない様子だ。

「貴女を失格扱いとします」

 宇那手は、少女の腕を引っ張り上げた。

「つまり、数ヶ月後の最終選別に、もう一度挑戦する権利があります。貴女の身柄は、私の屋敷で引き受けましょう。ちゃんとした指導者も紹介します。もう安心して。ついて来て」

 宇那手は、少女を連れて始発地点へと戻った。最初の朝日が山全体を照らす。

「この子を、最終日まで預かってください。私が引き取りますので」

 宇那手は、少女を隠に託した。

「お屋敷までお連れしましょうか?」

「駄目です」

 宇那手は首を横に振った。

「今は、師範も留守にしています。稀血のこの子を一人にはしておけません。藤に囲まれた、此処にいた方が安全です。私が連れて帰ります」

「はい。でしたら、宇那手様、此方へ。お館様からの御命令で、此処へ戻られたら食事と寝床を用意する様に言われております。特にお食事については、必ず摂っていただく様に、と」
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