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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第17章 やさしい獣〜伊達政宗〜




初めて彼を見た日、私は自分が雌だと強く意識した。
身体の奥から湧き上がる欲と情熱。
この人にめちゃくちゃにされたい、そう思うなんて。
私のタイプは優しくて大人しいはずなのに、なぜ?
こんなにオンナを溶かすような人に恋焦がれるなんて、身を滅ぼすわ。

この人は手に入らない。
私のことはきっと、鼻にもかけないだろうと直感で感じた。
この人は良くも悪くも、物凄く雄だ。
多くの女性を狂わせ、食らいつき、心ごと食べる獣。

あなたに射抜かれた日から夢中になってしまうなんて。
一度でも身体を許したら、すぐに興味を失ってしまいそうで怖い。
私が、堕ちていきそうで怖い。
どこまでも自分を失いそうで…怖い。


「今日もその紅なんだな」
めざとく見つける。
政宗は、私の変化に敏感だ。
本当に獣なのかもしれない。
私の匂いにも気づかれそうだ…女としての欲の匂いに。
それに気づかれたいような、気づかれたくないような…不思議な感覚。

今日も政宗の目はギラギラと光っている。
新しい獲物を探しているのかもしれない。
毎日、当たり前に顔を合わす私のことはもう関心すらないのかも。
私は政宗を見ると、冷静に答える。
「政宗はよく気づくね」と。
本当は政宗しか気づかないのを知っているのに。

「つれねーな、お前は」
その声も姿も私の心を掴んで離さないのに、なんでもない顔をするのはしんどい。
でも、政宗を感じたいからこのままでいたい。
餌をチラつかせるだけで良い。
ばら撒いたら、もうどこかへ行ってしまうから。


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