第16章 今が旬じゃなくても〜顕如〜
食べ物に旬という物があるように、女にもあると聞いたのはいつだろうか?
17歳になった時、最初は嬉しかったけれど、これから女として男性から見られていく妙な怖さを感じた。
男の人はどうやら若い女性をちやほやする特性があるらしい。
くだらないと思いつつも、私たち女性は巻き込まれていく。
老いる怖さも知っていく。
悪戯な言葉に私たちは傷ついて、弄ばれていく…そう思った。
でも、顕如様は違う。
魂ごと人を見てくれる。
見てくれは関係ない。
この人の眼差しはいつも私を安心させてくれる。
でも、人は欲張りになっていく生き物だ。
私は…顕如様に求められたい。
私の肉体にも興味を持って欲しいなんて、私は卑猥なのだろうか。
「そんなの、言えばいーのに」
天気の良い午後、私と並んで日向ぼっこしていた蘭丸くんが当たり前のように言う。
言えないから悩んでるんじゃないか。
そんなことは死んでも言えないよ…。
「…ごめんね。こんなこと蘭丸くんに相談して」
「んーん。別にいいけどさ」
「顕如様、すごく葉月様のこと可愛がっていると思うけどなぁ」
「そう!それなの」
顕如様は、恋仲になった私のことをすごく大事にしてくれている。
でも、それが…なんか…妹を通り越して我が娘を可愛がる感じがしてしまう。
贅沢な悩みとわかっていても、気にしてしまう。
もっと女性として見て欲しいなんて。
想われているだけで充分なはずなのに。