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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第15章 風の強い日はあなたと〜徳川家康〜



風は好きだ。

強い風に吹かれると、自分をどこか遠くへ連れて行ってくれる気がして…気持ち良い。
このまま、遥か遠くに飛んで行きたくなる。

でも、建物の中にいる時は別だ。
特に夜、寝る時や寝ている最中の風なんて、睡眠の妨げにしかならない。
こんな時は…

「お邪魔します」
「入っていいって言ってないけど」
勝手に部屋に入ってきた私に、厳しい声で家康が言う。
腕を組み、私を軽く睨んでいた。
「何やってるの、夜中だよ?」
「家康も起きてたの?」
「起きてたんじゃない。あんたに起こされたの」
「足音、消して来たのに凄いね」
「…気配を感じたんだよ」
家康は凄い。
やっぱりそこは武将だわ。
私が感心した顔をすると、家康は溜息をつく。
「…また強風だから、寝れないの?」
「うん。音が怖いし、ガタガタ煩いし…全然眠れなくて」
私は前回もそう言って家康にお世話になったのだ。
家康はすごく困ってるようだった。
でも、帰りたくない。
こういう時は好きな人の側にいたい。
少しで良いから…。

「ねぇ家康、ちょっとだけお喋りしよ」
家康は髪をかきあげ、私を見た。
「…あんたが眠れるまで?」
「うん」
家康は諦めたように深い溜息をすると、
「いいよ」と言ってくれた。
「家康、ありがとう〜!」
私が感激して抱きつこうとすると、家康に頭を押さえられて止められる。
「これ以上近づいたら、部屋から出すよ」
「…あ、ごめんなさい」
調子に乗りすぎた。

私は正座して、大人しくした。
家康もちょっと離れて、あぐらをかく。
それが、いつもより気だるそうでかっこいい。
私はうっとりしてしまう。
夜着の姿の家康は、いつもより大人っぽく見える。


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