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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第13章 博愛主義のあなた〜武田信玄〜



私が唇を離すと、信玄様はちょっと驚いた顔をしていたが、またいつもの笑顔に戻る。

「君にはいつも驚かされるな」
「駄目でしたか?」
「…いや、嬉しいね」
信玄様は楽しそうに私の顔に近づけると、鼻で私の顎をくすぐった。

「可愛くて仕方がないよ」

そう言いながら、その大きな手が私の腰から上をゆっくり触る。
思わず仰反ると、信玄様の顔の近くに私の胸が当たってしまう。
私は恥ずかしくなり、身を引こうとしても、信玄様が腰を掴んだまま離さない。

「恥ずかしいです…信玄様」
「君は恥ずかしがる姿も愛らしい」

信玄様は嬉しそうだ。
余裕あるその様子から、私の反応を楽しんでいるようだった。
経験豊富なこの人に敵うわけがない。
私はもう、降参するしかなかった。

いつも私を肯定して何でも許してくれる信玄様なら、さらけ出しても怖くない。
きっと受け止めてくれる…そんな安心感があった。

「信玄様…」
「何かな?」
「大好きです…」
私が微笑んでおでこに口づけると、信玄様は黙った。
そのまま返事はせず、私の胸に顔を埋めた。
耳が心なしか赤くなっているように見える。
もしかして…照れてる?
意外な反応に驚きと愛しさが込み上げた。

「可愛い…」
思わず呟いてしまうと、不満げな顔をされた。
信玄様に、また言ったなという目をされる。
私はくすっと笑った。
「…ごめんなさい」
笑いながら言うと、信玄様はちょっと困った顔をした。
「君には敵わないな」
そう言って、私に口づける。
信玄様の唇は柔らかくて気持ちが良い。
どんな甘味より、信玄様は甘いんだわ。
そう感じながら、私の中から何かが湧き上がる。
私はずっと前から、あなたの大きな手で抱きしめられたかった。
その身体の中に閉じ込められたかった。

あぁ、幸せだ…。
信玄様、大好きです。
また会えるその日まで、あなたの重みを感じさせて。


ーー……信玄様は、私を抱いた後、越後へ帰って行ってしまった。
「必ず君を迎えに来るよ」
そう言葉を残して…。

博愛主義者のあなたの言葉を信じて大丈夫かしら。
私は心の中で苦笑する。
でも、心はとても晴れやかだった。

「待っていますね、信玄様」








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