第13章 博愛主義のあなた〜武田信玄〜
あの質問から信玄様と会うのが怖い。
いつもの茶屋にも…行けない。
城下を歩いていると、幸村が立って待っていた。
「ちょっと、いいか」
幸村が真面目そうな顔で言うので、私は身構えた。
なんだろう…。
「この間、悪かったな」
「え…?」
私、幸村に何かされたっけ?
「何のこと?」
「いや、信玄様がさ。なんか冷たかったよな」
「あぁ…」
あの話、聞いてたんだ。
「別に平気。幸を紹介された時点で、私に望みなんてなかったし」
「アレなぁ。マジで困ったよな」
「幸、凄い困ってたの今でもすごく印象的。
あれは女の子、傷つくからね」
「悪い…」
私はくすくす笑うと、
「別に良いよ」と言った。
幸がいい人だとすぐにわかったし。
心の中でそう思った。
「お前、まだ信玄様が好きなのか?」
幸村は気まずそうに聞いてきた。