第12章 続・見つめていたい〜明智光秀〜
光秀さんは腕を組み直すと、私を覗き込んだ。
「お前こそ、どうなんだ?」
「私?」
私を見て、意地悪そうに笑いながら言う。
「あの選り取り見取りの中から俺を選んだんだ。お前こそ、何処かおかしいな」
「そんなこと!」
私は一目見た時からずーっと光秀さんが好きで見つめてきた。
光秀さんの素晴らしさは私がよく知っている。
「そんなことはありません。光秀さん以外考えられません」
私はちょっと怒って答えると、光秀さんが優しい目をする。
「お前も大概だな」
そう言いつつも少し嬉しそうに見えた。
「わかりました。気にするの、やめます」
「ほう。今日は随分と物分かりが良いな」
「あれこれ考えても無駄だとわかりました」
「…少しは大人になったか」
意外そうな顔をする光秀さんをちょっと睨んだ。
…どうせ私は子どもですよと呟く。
「私って、めんどくさいですよね」
私は溜息をついて下を向く。
「あぁ、全くだ」
「…ひどい」
「でもな、そういう所も気に入っている」
光秀さんは、私にそっと囁く。
「光秀さん…」
「なんだ」
「やっぱり変わってますね」
「お前ってやつは」
光秀さんは眉を下げて笑う。
その笑顔が眩しくて私は見惚れた。
光秀さん…どんどん表情が柔らかくなっていくな。
私も思わず微笑んだ。
「…どうした?」
「いえ、光秀さんの笑顔好きだなぁと思って」
「ふーん」
「な、なんですか?」
「気が合うな、と思ってな」
「…お前の笑顔をずっと見ていたいと思うよ」
そう言って、頬にキスをしてくれた。