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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第11章 見つめていたい〜明智光秀〜




私は次の日もまた次の日も、光秀さんの部屋を訪れてマッサージをした。
光秀さんは苦笑しながらも、私を入れてくれて、終わった後は毎回自室に送ってくれた。

そんな日が三日ほど続いた日の帰り、光秀さんは私をいつも通り自室まで送ると

「明日は用があるので出掛ける。お前もゆっくり休め」

そう言い残して去って行った。
明日は、こんな風に会えないのか。
そうわかってしまうと、寂しくて堪らなくなる。
明日…光秀さんはどこに行って誰に会うのだろう。
考えてもわからないのに、考えてしまう。

次の日、夕餉の時も本当に光秀さんは居なかった。
私は、自室に帰ってもじっとしていられず…結局、光秀さんの部屋の前に来ていた。
いないのは知っているのに。
私は一体、何をしているのだろう。
そうやって、光秀さんの部屋の前で呆然としていると…

「葉月…。何をしている。今日は出掛けると言ったはずだが」

振り向くと光秀さんが立っていた。
涙でぼろぼろの私に気づくと、光秀さんは私の手を掴み部屋に入れる。
私の頭を掴み、光秀さんは自分の胸に泣く私を押し込める。

「馬鹿者…何を泣いている」

こうなることはわかっていた。
だから、見つめるだけで良かったのに。
私は毎日あなたの側に居て、こんなに欲しがりになってしまいました。
あなたがどこで何をしているか知りたい。
聞けもしないのに。
あなたの側にいたい。毎日、いたい。
そんなこと言えやしないのに。

光秀さんは、私に口づけしようと顔を近づけてきた。

慰めの口づけなんて、いりません。
あなたは優しいから、私が泣いているのが気になるだけ。
私は、光秀さんの唇を人差し指で押さえた。

「…何をしている。口づけが出来ないだろう?」
「だめ、です」
「何故だ?」

もっとあなたが欲しくなってしまうから…

「内緒、です」
「…つれないやつだ」

そう言って、私の手の先に唇を落とす。
涙が止まらなくて困る。
あなたは私に優し過ぎます。
期待させないで欲しい。
でも、そんなあなたも好きなんです。

「光秀さん、嘘つき…」
「何がだ」
「今日は出掛けるって」
「あぁ、ちょっと野暮用で早々に帰って来た。うちに毎日来る小娘が気になってな」

…私のこと?
もしかして、私が心配で帰って来てくれたの?

「それは、大変ですね」
「あぁ、全くだ」



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