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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第10章 続・銀杏並木でつかまえて〜上杉謙信〜



あれからすぐ、信玄様は約束通り信長様宛てに手紙を書いてくれた。
後日、安土城から返事が届いたと信玄様から聞かされた。
これで安心して、春日山城で暮らして行ける。
少しほっとしていたある日。
謙信様が焚き火をしていた。

「謙信様、焼き芋でもしてるんですか?」
私は焚き火が似合わない謙信様に話しかけた。
「いや、何も入れていない」
「姫は焼き芋が好きなのかい?では、早速持って来よう」

信玄様が気を利かせて沢山サツマイモを持って来てくれた。
私、焼き芋大好きなんだよね。
幸村や佐助くんも呼んで、焼き芋パーティーが始まった。

「珍しいですね。謙信様が焚き火なんて」
佐助くんが訪ねた。
「焚き火ではない。不要なモノを燃やしていただけだ」
「不要なモノって…まさか…」
佐助くんの顔が引き攣っていく。

「安土城から届いた手紙じゃないですよね?」
「そうに決まっているだろう」
当たり前のように謙信様が答える。

「は?まだこいつ読んでないんじゃねーの?」
幸村が私の方を見て、驚いて声を上げた。

「…姫、悪かったね。俺が目を離したばっかりに」
信玄様は、謙信様を見て溜息を漏らすと、私に謝罪をした。

「いえいえ、私は大丈夫ですよ」
「お前ら、何を言っている。あんな手紙見せたくもない。葉月が悩むだけだ」

「…そんなに酷いことが書いてあったのですか?」
「いや、別にそんなことは…」
信玄様が答えようとすると、謙信様が止めた。

「黙れ、信玄」

そう言って、焼き芋も食べずに謙信様は去って行った。
私たちは呆然とそこに残されて。



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