第87章 恋事情〜豊臣秀吉〜
ねえ、どんな恋をしてきたの?
私の質問にちょっと困った顔しながらも、秀吉さんは答えてくれた。
もうおしまいって言われても私は食い下がらない。
「なんで?もっと教えて欲しい!」
いつも好奇心には勝てなくて、色々聞いてしまう。
そのくせ、後で後悔する。
知らなくてもいいことを知って、しっかり傷つくからだ。
自分から聞いてきたくせに落ち込まれたら、困るのにね。
秀吉さんが「お前から聞いてきたんだろ」と苦笑いをする。
本当にその通りだ。
でも、どんな人を好きだったか知りたいじゃない?!
その相手をしっかり愛していたか。
どんな人と付き合っていたか。
きっとそれは、私と付き合っても変わらないだろうから。
と、いうのは建前で。
ただただ気になるのが本音。
聞ける限り、答えてもらえる限り、私は聞くのだ。
そして、しっかり落ち込むまでがセット。
だって、好きな人の前の彼女の話なんて、聞いたところで面白くはない。
でも、ついつい聞いてしまう。
馬鹿なのだろうか、私は。
「え…この辺で待ち合わせしてたの?」
「まあ、通り道だったし」
逢瀬はどこでしていたかなんて、聞かなきゃ良かったな。
公務の合間に隠れてしていたなんて…知りたくなかった。