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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第85章 恋だと気づく瞬間〜明智光秀〜



「ありがとう、葉月」

光秀さんの優しい言葉に、私は泣き出していた。
ひっくひっくと声を上げて泣く私は、お世辞にも綺麗とは言えない泣き顔だろう。
自分でもよくわかる。
それでも、光秀さんは目を細めて笑い、こんな私を優しく見つめる。

「そんな可愛い泣き方をするな」
「か…っ、可愛く、ない…です…」
「お前は可愛い。泣き方も泣く理由も俺に会いに来た理由も」
「光秀…さん…」
「ん?」
「寂しかったです…あなたがいなくて…私…」

別に生きていける。
光秀さんがいなくたって。
ご飯も食べれるし、仕事も出来るし、毎日はちゃんと過ぎていく。

でも、辛いの。
あなたがいないと、何もかも。
味気のない毎日で。
ただ、日々が勝手に過ぎていくだけ。


「あなたがいないとダメなんです。あなたの代わりになる人なんて、絶対いない。だから、ずっと此処にいて下さい」
「葉月…」
「出来るだけで構わないから…」
「…出来るだけで良いのか?」
「はい…」
「馬鹿だな、お前は」

そう言って、抱きしめてくれた。
光秀さんの匂いを肌で感じ、深く息を吸う。
この匂い。
落ち着く匂いだ。
光秀さんを作り出す何もかもが、私を安心させてくれる。
その匂いを嗅いだ時、やっと深呼吸が出来た気がした。
私はずっと、息も上手く出来ていなかったのだろう。

光秀さんの背中に手を伸ばし、私は言った。

「もういなくならない?」
「…あぁ。いなくならない」
「ずっと、一緒にいてくれますか?」
「……お前が嫌だと言っても、側にいる」
 
光秀さんは、私の肩に顔を埋めてそう答えてくれた。


やっと素直に言えた。
意地を張っても何も良いことなんてない。
好きなら好きと伝えよう。
伝えられる時に、出し惜しみなどせずに。
いつ、会えなくなるかなんて誰にもわからないのだから……

彼の大切さを教えてくれた、そんな出来事だった。

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