• テキストサイズ

イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第7章 君の手〜真田幸村〜



「幸、無理しないで良いよ。もう帰ろう」
「うるせーな、無理なんかしてねぇよ」

…そうかなぁ。
今日、ちょっとした見晴らしの良い広場に着くと、逢瀬をしているカップルやイチャイチャしたカップルの多さに幸村は完全にやられている。
耳まで赤くなって、ずんずん歩く幸村の姿に私は困ってしまう。
 
「どこまで行くの?」
「あっちなら誰もいないだろ」

そう言って、坂を登っていく。
すると、綺麗な紅葉が見渡せる場所まで来ていた。
思わず溜息が溢れてしまう程、圧巻だった。

「綺麗…」
「そうだろ?ここ、連れて来てやりたかったんだ。お前、紅葉をいつも嬉しそうに見てたから」
 
幸村が私のことを見ていてくれたなんて。
連れて来たいって思っていたなんて。

「幸…私のこと苦手なんだと思ってた」
「はぁ?なんでそうなるんだよ」
「だって、あんまり目を見て話してくれないし、いつも困った顔してるから」
「いや、それは…」
「それは?」
「お、女が苦手だから、だよ。うるせーな」
「そうなの?なーんだ、良かった」
私はホッとした。
でも、同時にちょっと不満だった。

「じゃあさ、私を女だと思わなければ良いじゃない?」
「…どういうことだ?」
「女じゃなくて、男友達って思えば、気が楽になるかもよ?」
「そんなの、無理だろ」
「ダメ?」
「ダメに決まってんだろうが!お前はオンナなんだから」
「そっか…」
「あと、その上目遣いでダメ?とか聞くの、一体どこで習ったんだよ」
「習ってないもん」
「わかってるよ、うるっせーな」

横を向いて、幸村は顔を隠すけど、赤くなっていくのが見えた。
私は幸村の顔を覗きながら囁いた。

「幸…?」
「なんで、お前はいつも余裕そうなんだよ。緊張してる俺が馬鹿みてーじゃん」
 
幸村は、私の目をじっと見ると
「なんで、そんなに可愛いんだよ」
「ムカつく」
そう言って、幸村は私の頬をゆっくりと触る。
顔を近づけようとして、ふと止まった。
  
「目、閉じろよ」
「だって…ドキドキして、出来ない」
私の顔もきっと赤かったに違いない。
でも、幸村の方がまた苦しげに眉を寄せる。

「お前、俺を破滅させる気かよ?」
幸村の唇が優しく触れる。
私はパニックと、ときめきとで、頭がついていかない。


やっぱり目は閉じれなかった。
この紅葉と青空の景色を忘れたくなかったから。

/ 462ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp