• テキストサイズ

イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第82章 駆け引きは恋の始まり・後編〜豊臣秀吉〜




俺は、城を出た所で葉月を待っていた。
辺りは薄暗く、日中よりも爽やかな風が吹いている。
秋の気配を感じて、自然と笑みが溢れた。

ザッと足音がして振り向くと…



そこには家康が立っていた。



「…葉月かと思いました?」

家康のやや皮肉げな言い方はいつものことなのに、ピリッと空気が変わった。
光秀のヤツ、どこが噂だけ…だ。
完全に睨まれてるじゃねーか。

冷ややかに俺を見た家康が、皮肉げな笑いを作って俺を見据える。

「どういう心境の変化ですか?今更、葉月を逢瀬に誘うなんて」
「…家康…お前」
「そんなに警戒しないで下さいよ。理由が知りたいだけですから」

努めて落ち着き払った言い方の割に、目をギラギラさせながら言う家康に驚く。
そんなに大事に想っていたのか、葉月のことを。
あの、女性にまるで関心のなかった家康が…。

「………お前、本当に好きなんだな。葉月のことが」
「は?!」

思わず呟いてしまった言葉に、家康の顔が赤くなる。
こいつのこういうところ、可愛いんだよな。
意識してなかったのか。

家康のことも弟分として可愛がっていた俺は、思わず笑ってしまう。

「それ、伝えたのか?葉月に」
「言ってたら、こんな所に来てないですよ」
「もったいねーな。伝えとけよ」

俺が腕組みをして項垂れると、家康はすっかり闘う気を無くした様子で俺を見つめた。

「……恋敵に助言します?普通」
「俺はお前のことも大事だからな」
「はあ。やだ、本当に。俺に人たらしの技を使うのやめてくれません?」
「…何言ってんだ。本当のことしか言ってないぞ、俺は」


/ 462ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp