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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第81章 駆け引きは恋の始まり・中編〜徳川家康〜



「では、次の段階に進もうか。予定より早かったけど」
「…何するの?」

嫌な予感がするのか、やや不安げな葉月が俺を見る。

「暫く、二人で会ったり話したりするのを止めよう」
「えっ…どうして?」
「…これは作戦だよ。秀吉さんが葉月のことで頭をいっぱいにする為。俺と上手くいってないって、葉月から秀吉さんに相談するんだよ。秀吉さんがあんたに気があれば食いつくから…そしたら、そのまま上手くやれば良い」
「……なんで私と家康の相談をしたら、秀吉さんが私の方に来るの?」
「だって、俺たち噂になってるから。恋仲だって」
「えぇ?!そうだったの?…なら尚更、恋仲の人がいる私に興味わくかな。これ、前から疑問だったんだけど…」
「男ってね、誰のものでもない子より、誰かのものだった子の方が興味をそそるんだよ。恋愛って狩りみたいなものだから」
「…秀吉さんがそうだってこと?」
「あの人もそうじゃない?結構な雄でしょ、秀吉さんは」
「そうかなぁ…」

自信なさげに葉月は言う。

大丈夫だよ。
雄とか狩りの本能云々の前に、秀吉さんはあんたに気があるよ。
それに本人が気づいているかいないかは、わからないけど。

「上手くやれるかな、私…。家康にも相談出来なくなるし」
「何?やだ?俺と話せなくなるの」

つい卑屈っぽい言い方になってしまう。
俺はなぜこんな風にしか話せないのかな。

「…うん、やだな。寂しいもん。家康と話せないの」
「……っ。馬鹿だな。暫くの間って言ったでしょ。一生続くわけじゃないんだから」
「本当…?」
「本当だよ」

嘘だ。
もう、こんな風には話せない。
二人で会うことも、親しげに言葉を交わすことも…。
みんなと話すことはあっても、必要最低限しか話せなくなるだろう。
秀吉さんと上手くいったら、俺からはちゃんと離れないと駄目だ。

でも、そんなこと…俺からは言えない。


……ありがとう。
寂しいと言ってくれて。
それだけで、俺は充分満たされたよ。




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