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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第81章 駆け引きは恋の始まり・中編〜徳川家康〜



でも、アレだな。
やっぱり夜に部屋で二人っきりとか、なかなか厳しいな。

俺は、かなり理性はある方だけど…手を出さない方が難しい。
昨夜は俺の部屋だったけど、かなり危険だった。
もう二度とごめんだ。
あんな甘い香りを漂わせて、俺の部屋で会うなんて。
案の定、部屋に葉月の香りが残っていて安眠なんか出来なかった。

…この子の部屋なら大丈夫かと思ったけど…。
もう、夜に会うのはやめよう。
理性を保てる自信がない。


俺だって一応、男なのだから。


さっきから葉月の白い手首や頸が気になって仕方ない。
そんな俺の気持ちに全く気付かずに楽しそうに話すこの子の話題は、いつも他愛のないことだ。
信長様とこっそり食べた、金平糖の話。
光秀さんにまた騙されたという愚痴。(…と、言ってるわりには楽しそうに話していたけど)
政宗さんが一口味見させてくれた、煮物が美味しかったこと。
三成がまた本ばかり読んでいたから、食事を食べさせてあげたっていうクソどうでもいい話。

…本当によく喋る。
女の人ってよく話すと聞くけど、本当みたいだな。
でも、この子が話すのを聞くのは嫌いじゃない。
すごく幸せそうに話すからかな。
聞いていて、心地良いんだ。

この子の世界はいつも平和で、幸せに満ちている。
一緒にいると、俺までその世界の住人になれた気がするんだ。
不思議な感覚。
気づいたら、俺の口角が上がっていた。
それを見て、葉月の顔がパッと輝く。

「え?面白い?何が面白かった?」
「…別に。あんたの話している姿が面白かっただけ」
「それってどういう意味?」
「意味なんてないよ、そのまんま。阿保だなって」
「もう!家康ってば、そればっかり」
「嘘だよ。うそうそ。あんたの話聞いてると、なんかあったかい布団に入っているみたいでさ」
「…布団?」
「心地良くて…」
「眠くなる?」
「そ、退屈で」
「もう!」
「あはは、嘘だって」

結局、俺たちはこんな生産性のない話をただ話し続けた。
葉月曰く、恋人同士というのは永遠と下らない話をするものだから、恋仲のふりをするなら一回やってみたいと言ったのだ。

…それ、何か意味があるのだろうか?


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