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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第79章 満月には、ありのままの気持ちを…〜明智光秀〜




朝の冷え込みが本格的になり、冬の訪れを感じるようになってきた。
日が暮れるのも早くなり、夕方にはぽっかりとお月様が顔を出す。

そんな月を見るたびに、彼を想う。
月が満ちていくように、光秀さんへの気持ちが大きく膨らむのがわかり、私は困っていた。

「…何やっているのだろう。私は」
呟いても仕方ないのに、言わずにはいられなかった。

どうしたら良いかわからない。
自分の気持ちを持て余して、月を眺めては助けを求めていた。
光秀さんにそんな思惑はないとは思っても、結局は手のひらで転がされている自分に気づき、悔しくなる。



…やっと、平穏を保てるようになってきたのに。


光秀さんのせいだ。
いつも私の頭の中は、光秀さんの行動一つで煩くなる。
言葉一つで、天にも地にも、私は逝く。
その度、光秀さんがくれた言葉や行動の中にある本当の意味を探してしまうのは、深い理由が欲しいから。
そう思いたいから。

それはかなり病的で、他に何も手につかないくらい。
光秀さんを好きになった初めの頃は、毎日ぼんやりしてイライラして苦しかった。
そんな自分自身が嫌で、抜け出したくて
でも、好きを止める方法がわからなかった私が出した苦肉の策は『期待しないで好きでいる』ということ。
私の中から光秀さんを消すことなんて無理だから、そうするしかなかった。

でも…
またそうやって、私の気持ちを掻き乱すのだから。



困った人を好きになってしまった。
そんな諦めと後悔と…
どうしようもない想いを抱えたまま、また月を見た。


わかっている。
光秀さんは思わせぶりなんだ。
他の女性にも、さほど変わらないのだろう。
私がほんの少しだけ、彼に近しい存在ってだけ。
顔を合わせる回数が、他の方達より多いってだけ。
だから、特別な気がしてしまうけれど…きっと違う。


馬鹿だな、私は。
わかっているのに期待して空回りして、半年以上もこんな場所にいるのに。
何も成長していない。



気まぐれでも良いから、光秀さんに優しくキスして貰いたい。
そんな邪な想いを、月にだけは伝えられる。

月だけはいつも、こんな私を優しく照らしてくれた。







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