第75章 告白〜明智光秀〜
「…これで良いですか?」
「あぁ。甘い…な。もっと欲しくなる」
「なら、たくさん食べて下さい。まだありますから」
私がほっとして明るい声で答えると、…意味がわかってなさそうだなと光秀さんは呟いた。
え?っと聞き返した私を引き寄せると、そのまま布団に押し倒した。
「…お前を、という意味だ」
光秀さんに見下ろされたかと思うと、唇が近づいて来る。
私はぎりぎりの所で光秀さんの口を両手で隠した。
「葉月、この手を退けろ。いい子だから」
「ダメです、光秀さん…。だって、まだ…」
「俺はもう平気だ。そんな柔じゃない」
「でも…」
「葉月…もっとお前を味わいたい。梨よりもお前の方が甘くて美味しそうだ」
味なんてわからないくせに。
私は困ったことに何も言えない。
光秀さんが悪いんだ。
私が塞いでいた手を退かすと、すぐに口づけが降ってきた。
それは何度も角度を変えて深くなっていき、私は光秀さんの中に深く堕ちていくのを感じた。
あんなに光秀さんの身体を心配していた私の手は、光秀さんを求めて光秀さんの首や髪の毛に絡まっていった。
もっともっと…と欲しがって足掻いている。
そんな私に気づき、ふっと光秀さんが笑った。
「…煽るな、俺は病人だぞ?」
意地悪く囁く声が耳元で甘く響き、そんな光秀さんからは爽やかな梨の香りを感じた。
光秀さんはどこもかしこも苦しいくらいに熱くて、これが夏のせいなのか熱のせいなのか…
ー…私にはもう、わからなかった…。