第75章 告白〜明智光秀〜
「……そうか、なら仕方ないな」
諦めてくれたのだろうと胸を撫で下ろした時、光秀さんが皿から梨を取った。
ポキッと半分ほど噛んで咥えると、私の頭を掴んで引き寄せた。
「え…っ、あの…」
戸惑う私には構わず、光秀さんは私に口を開けさせた。
コロン、と口の中に梨の感触がする。
私が固まったままでいると、指を舐めながら光秀さんは口元だけで笑った。
「どうした?食べないのか?」
「あ、は…い」
もぐもぐと口を動かすけど、味なんてわからない。
私が食べるのを見ながら、光秀さんは「これでやり方がわかっただろう?」と言い、梨が喉に詰まりそうになる。
…もう逃げれない。
光秀さんはいつだって、私を追い込むのが誰よりも上手い。
私が恐る恐る光秀さんを見ると、光秀さんは静かに微笑んで待っていた。
私は決意をし、小さめな梨を咥えるとそっと光秀さんの肩に触れて顔を近づけた。
そっと口づけするように梨を光秀さんの口に入れると、すぐ顔を離して下を向いた。
私はもう恥ずかしくて仕方ない。
光秀さんはそんな私を見て、くすっと笑ったのを感じた。
もう、やだ。
何やっているんだろう。
こんな風に光秀さんの手のひらで転がされて…。