第75章 告白〜明智光秀〜

「光秀様っ！遅れて申し訳ありません。葉月様、ご無事でしたか？」
「三成くん…っ！」

本当に無事だった！
良かった。
三成くんが汗をかきながら、部下を引き連れて現れたのが嬉しくて思わず駆け寄った。

「三成くん、三成くんだよね？」
「葉月様？一体どうしたのですか？はい、三成ですよ」

私は三成くんの手を取って上下に振りながら泣き出すと、三成くんは熱烈ですねと微笑んだ。

「あの男が三成くんを知ってるって言ってね。騙したの」
「まあ、そんな嘘を？それはいけませんね」
「三成くんが怪我したのかと思って…」
「そうだったのですね。ありがとうございます。私は元気ですよ。心配に及びません」

そんなやりとりをしていた私たちに「…三成」と冷静な光秀さんの声が上から降ってきた。

私から三成くんを引き離すと
「秀吉の所にあの男を連れて行け。早急にな」
と、いつもより怒りのこもった声でそう言った。

「そうですね。では、光秀様…葉月様をお願い出来ますか？」
「…あぁ」
「三成くん、気をつけてね」
「大丈夫ですよ。こう見えてもわたくしは強い方なので」

そう言ってにっこり笑うと、さあ参りましょうかと縛り上げた男を連れて歩き出した。
私はほっとしながら、三成くんの後ろ姿を見つめていた。

私が涙を拭っていると、やれやれと光秀さんが呟いた。

「そんなに泣くと目が腫れるぞ」
「だって、三成くん無事で良かったなって思って…」
「そうだな。お前は本当に優しくていい子だ」
「子ども扱い、しないで下さい」
「していない。こんな時にも他人を思いやれるお前は本当に偉い。そう思っているよ」

いつになく真面目に答えが返ってきて、私の方が慌てた。

「…光秀さん？大丈夫ですか？」
「あぁ。お前が城下にいると不安だ。早く城に連れて帰る」
「……本当にすみません。あれ？」

謝罪の最中、ポツポツと頭に雫を感じたと思ったら、一気に雨が降ってきた。