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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第75章 告白〜明智光秀〜




秀吉さんに毎回、迎えに来て貰うのは悪いから。
人攫いの事件が多発し、忙しい姿を目の当たりにした私は、他の人に代わって貰うようお願いした。
気にすることないという秀吉さんの言葉にお礼を言って、どうしてもと言うと次からは三成くんが来てくれた。

三成くんとの帰り道も楽しかった。
二人でちょっと寄り道したり、野良猫を追いかけたりして。

帰りが遅くなり、結局秀吉さんから注意されたが私は気にしなかった。
家康はそんな私たちに呆れていた。
私にというか、三成くんにだったみたいだけど。


その日は朝から曇り空が広がっていた。
今年は夏だというのに、雨が多い。
灰色のぶ厚い雲を見ながら、今日も降るかもしれない…そう思った時だった。


「葉月様、ですか?」
「…はい?」

声を掛けてきたのは、知らない男性だった。
貼り付けられたような笑顔を浮かべ、割と綺麗な着物を身につけている。
その人は上の方から頼まれて来たと言った。

「帰りましょう。この辺は物騒ですから」
「でも、三成くんが…」
「大丈夫ですよ」

…大丈夫?
何が大丈夫なのだろう。

「私、待ってます。行き違いになったら悪いので」

すると、急にその男性の顔が険しくなった。
私は不審に思い、身を引いた。

「あなた…誰ですか?上の方って…秀吉さんじゃなさそうですよね」
「ごちゃごちゃうるせぇな。三成って奴がどうなっても良いのかよ?」
「あなた…三成くんに何かしたの?」
「大人しくついて来たら教えてやるよ」
「…三成くんに何かしたら、許さないから」
「そんなの、お前の態度次第だよ。どうする?」

手が震えた。
怖い。
罠かもしれない。
でも、本当に三成くんに何かあったとしたら…。

「…わかりました。行きます」

その男がにんまりと笑い私の手を掴んだ、その瞬間。

「………ほう。そうやってお前らは人を攫ってきたのか」
光秀さんはそう言ってすぐさま男の手を掴み、払い除けた。

「光秀さ…っ」
「誰だてめぇ…ぐおっ」

光秀さんは男の腹に一撃を喰らわせ、「お前に名乗るつもりはない」と言うとその男を思いっきり蹴飛ばした。

「汚い手で葉月に触るんじゃない。…それに、お前の仲間は秀吉が全員捕らえた。逃げ場はないぞ」
「くっそぉ…っ」






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