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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第73章 甘えるならこんな風に〜徳川家康〜




「…何、さっきの?」

光秀さんと三成くんが先に行き、家康と廊下で二人きり。
そんな中、急に家康に声を掛けられて私は驚いた。

さっきの?
さっきのって何?


家康の言っている意味はわからなかったけど、話しかけてくれたのが嬉しかった。
私がまごまごしていると、家康がちょっといらだったように片目を歪ませた。

「光秀さんと何か話してたでしょ」
「あぁ、あれは…」

そう言いながら、家康のことを言われたとは恥ずかしくて言えない。
私が家康のこと、考えてるってバレちゃうのは嫌だった。

「そんなたいした話じゃない、よ」
「ふーん、そう」

納得してない様子で家康が此方をじろっと見た。

…本当にいつも通りだ。
昨日のことを気にかけていたのは、私だけだった。
気まずさを感じていたのも…私だけ。

家康にとって私って、もしかしたら何でもないのかも。
どうでも良いのかもしれない。


家康の態度に、まだ混乱している。
普通に話せて嬉しいはずなのに…。
私はまだ、昨日のことを引きずっている。
もう家康は忘れているようにすら見えて、自分の存在の小ささを自覚した。


ー…ああ、そうか。
私は、家康の特別になりたかったんだ。
なれていると勝手に思っていたから、悲しいんだ。
欲しい想いとは違うとわかってしまったから…。


「家康、もう怒ってない?」
「…怒ってないよ」

そう答えられ、嬉しいよりも寂しいが勝る。
まだ、怒っている方が良かった…そう思った。

なんてことはない。

昨日の家康はただ機嫌が悪かっただけじゃない。
私が煩わしかったんだ。

一緒にいたら、またあんな風に苛立たれたり、何も言わずに離れられてしまうのだろうか。
私がした態度で、言葉で…。

そんなのいやだ。


「家康…ごめんね。もう、私…家康に必要以上に話しかけたりしないから」
「………え?」


そうすれば、このままの距離でいられるでしょう?




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