第72章 ヤキモチ〜伊達政宗〜
心を全部、持っていかれた。
あなたの笑顔を見た時…
そう、その楽しそうな笑い声を聞いた時…
それは、私の下らない話で笑ってくれた時だった。
それからずっと、私はあなたのことばかり考えている。
それは幸せな時もある
苦しくて息も出来なくなる日もあるし
時には抜け殻になったように、何も考えられなくなる日もある…
あなた以外のことを考えられなくなるくらい、私はバグってしまった。
このまま、あなたのことばかり考えて生きていかなきゃいけないのだろうか。
朝が来て、目が覚めても
眩しいくらい晴れている日も
泣きそうな空の日も
痛いくらいに綺麗な月が見える日も…
いつもいつも想う。
ー…政宗、元気かなって。
何してるかなって。
あぁ、いっそのこと殺してほしい。
この想いと一緒に
儚く消えて、海のもずくにでもなりたい。
この時代に飛ばされた私が死んでも、誰も気に留めない。
どうせわからないからそれも良いだろうと割と本気で思う私は、メンヘラというヤツなのだろうか。
一人でいると、碌なことを考えないものだ。
人を好きになるって、幸せな時には上へ上へ果てしなく高く上がる分、下がる時は壊れたエレベーター並みに真っ逆さまに堕ちるんだな。
今日は、堕ちる日。
あなたと全然話せなかった。
目も合わなかった。
あなたは全然、私を気にとめなかった。
そのくせ、「葉月に会ったら元気が出た」なんて気安く言うんだ。
…あぁ、思わせぶりの言葉は
会っている時より一人になってからの方が効いてくる
後からこうやって、じわじわと侵食される
意味なんてないだろうに、深く考えてしまう私は。
きっと暇でしかないのだろう。
頭ではわかっているんだ、深い理由も意識して放った言葉でもないと。
でも、何度もリフレインしてしまうのは…
あなたを好きだから
もしかしてって想いたいから
だから…
仕方ないと誰か言って欲しいよ。