第69章 君は友達〜猿飛佐助〜
「佐助くんって、彼女いるの?」
そう、君が聞くから。
「彼女はいないけど、好きな人ならいるよ」
…そう答えるしかなかった。
だって、俺は
君の友達だから。
「佐助くんって凄いね!」
「頼りになる」
「優しいね、すごく…」
君はいつだって、俺を褒めてくれて
キラキラした瞳で、俺を見てくれて
俺なんかに笑顔を振りまいてくれる。
ー…可愛いな。
たとえ、友達への眼差しだとしても俺は満足だよ。
君が幸せなら
君の役に立てるなら…
でもさ、
俺なりの精一杯のアピールの言葉も、君には届かないんだね。
俺は、君以外とはこんなに話さないし
愛想も良くない。
笑ったりしない。
こんなに女の子に親切にしない。
…わかってない、よね?
好きだからだよ。
でも、言えないな。
だって、俺は…
友達だもんな。
でも、いつか伝えたい。
君が好きだと。
友達としてではなく、
一人の女性としてもだけど…
君という人間、丸ごと
好きだって
ー…そんな風に言ったら、君は困るのかな?