第69章 君は友達〜猿飛佐助〜
私の好きな人には、他に好きな人がいる。
知ってるよ。
だから…
私はあなたの友達になりたい。
「他の人とは、こんな風に話したりしない。愛想がないって昔から言われるんだ」
「また暫く葉月さんと逢えなくなるのは、寂しい」
そんな風に言われたら、期待してしまいそうになるから…
私はあなたと友達になることを決めた。
友達なら、期待しない。
期待しないで優しく出来る。
側にいられる。
気軽に話せる。
…いちいちあなたの発した言葉やほんのした仕草に、四六時中惑わされない。
頭の中、あなたのことでいっぱいで
いつも苦しいの。
まさに病だ。
厄介な病気…。
もう治したいの、この病を。
初めの頃感じていた…あなたと話す時間がただ楽しくて、あなたの幸せを心から願えて、
あなたのことを想うだけで幸せって。
そう思っていた自分に戻りたいの。
時々、目を見てくれる。
私と話す時、すごく楽しそうで
よく声を出して笑ってくれる。
私の体調を気にかけてくれる。
優しくしてくれる。
気遣ってくれる。
…もしかして脈アリ?
……これってもしかして、なんて毎回思う自分が馬鹿みたいで。
二人でした会話を一人で夜長に思い出しているなんて、知られたくない。
気持ち悪いくらいにあなたのこと考えてて、自分で自分に引く。
だって、そんなわけないもん。
もっと純粋に、素直に仲間への気遣いと受け取りたい。
あっちは私のこと、仲間としか思ってないよ。
知ってるよ。
わかってる。
だから…
友達になりたいの。
できれば、親友に。
いつか
何年後か
「あの時、実は佐助くんのこと好きだったんだ」
そう言えるくらいに…大人になりたい。