第67章 きみとの電話(現パロ)〜真田幸村〜
「…はい。では、失礼致します。はい……。〜〜…っ」
顔を片手で覆い、受話器を置くと俺は盛大に息を吐いた。
「ん?どうした、幸村」
隣のデスクにいた同僚の佐助が手を止めて、俺の顔を覗き込んだ。
思わず、顔を反対に逸らしてしまう。
「…なんでもねーよ」
「そう?なんか顔、赤くない?」
「赤くねーって。暑いからだろ」
今、余韻に浸ってる最中なんだ。
悪いな、佐助。
俺は椅子ごと佐助に背を向けて、手元にあった資料を見るふりをした。
あの子の声を聞くと、すごくホッとする。
幸せな気持ちになる。
…なんだか、励まされている気分になるんだよな。
頑張れって…まるで背中を押されているような。
『応援しているよ』
そう言われているような気になる…。
あの人に頭を撫でられているような、そんな感覚。
女なんて苦手なのに。
…彼女は何か違う。
特に急ぎの案件じゃなくても、電話してしまうのは…
あの子の声が聞きたいから。
「はぁ〜〜…」
そんなこと、恥ずかしくて誰にも言えねーよ。
でも、気になって仕方ない。
だから俺は、また彼女に…
電話をしてしまうのだろう。
この淡い気持ちを持て余しながら…