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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第66章 続・さようならと言えなくて〜明智光秀〜



久兵衛は溜息をついた。

「酷い恋煩いだな…。光秀様があんな風になるとは…」

ー…葉月様が帰ったと人づてに聞いた。
あの方は、姫らしくはないが温かい笑顔で俺のような者にも笑いかけてくれる、優しい女性だった。
一言二言だが、話すと心まで温かくなるような…そんな方だった。

光秀様が、唯一…必死な顔を見せて守ろうとしていた方だ。

あれから、光秀様の仕事ぶりは変わらない。
だが、食事も摂らず…物思いにふけているのだろう。
口数が減り、顔色も良くない。

「葉月様は何処に行ったのだろうか…」

探さねば。
俺ができることは、それくらいしかない。
少しでも…光秀様のお役に立てるよう情報を集めなければ。



なぜ、あの時葉月様が誘拐されそうになったのか…。
光秀様自身、きっと気づいていないだろう。
葉月様を見つめる光秀様の眼差しが、愛する人を見つめるそれだったからだ。
奴等が恋仲と勘違いしても仕方ないくらいに、光秀様は葉月様に惚れていた。

隠すのが上手な光秀様が、葉月様への想いはまるで隠せていなかった。
…まあ、葉月様は全く気づいていなかったようだが。
だから、思わずお節介をやいたのだが…上手くはいかなかったようだ。
二人の仲は何も変わらなかったのだろう。


光秀様は…きっと、葉月様をあの人なりに守っていきたかったのだろう。
恨みを買いやすい仕事ぶりや生き様の光秀様を、窮地に陥れたい輩は多い。
また葉月様の命が狙われるのは明白だ。

…だが、それを伝えてはいないだろう。
肝心なことは言わない光秀様の想いは伝わりにくい。


「意外に不器用な方だな…光秀様は」

あんなに痩せて、見ていられない。
あの人も今、きっと気づいているのだろう。
葉月様の存在の大きさを。


ー…葉月様、どうか…光秀様の側にいてあげて下さい。



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