第65章 目が合うと〜上杉謙信〜
謙信とすれ違った幸村が、不思議そうに佐助に聞いた。
「なんだ、あれ?」
「葉月さんに美しいから見惚れていたと伝えにいくらしい」
「なっ……なんだ、それ?!」
「照れくさいよな」
「あぁ」
「でも…なんか良いな」
そう言って、佐助は微笑んだ。
「驚くだろうな、葉月さん」
…なぜ、いつも目が合うのか?
それは…君が好きだから。
君を見ていたいから。
きっとそう伝えるのだろう。
ストレートにしか言えない、真っ直ぐ過ぎる謙信様は。
「謙信様は見る目がある。葉月さんの良さがわかるなんて」
「…?何言ってんだよ、佐助」
「いや?なんでもない」
あの人に惚れられたら幸せだ。
全身全霊をかけ、生涯愛して貰えるだろう。
きっと離しはしない。
ー…安心だ。
「おい、葉月…」
「…謙信様。どうしました?」
「話がある…実はな…」
その瞳に見つめられ、きっと葉月さんは…。
瞬く間に恋に堕ちるのだろう。