第64章 続・二度目のキス〜伊達政宗〜
「なあ……」
政宗が後ろから急に抱きついて、私に声を掛けて来た。
「だ、ダメ!」
「…まだなんも言ってねーけど?」
ちょっと不貞腐れたような声が、肩越しから聞こえる。
甘えん坊モードの時の政宗は可愛い。
わかりやすいから。
でも、やり口は全く可愛くはない。
わざと私の耳元でそんな風に喋られたら…理性を保つの大変なのに。
「じゃあ、何?」
「…シたい」
「だから、ダメだってば。政宗、この間の戦いの傷まだ治ってないでしょ」
「別に平気だって言ってるだろ。…じゃあ口づけだけ」
政宗ってば。
…私がキスだけじゃ止まらなくなるのを知ってるから、そんなこと言うんだ。
「や。政宗、それだけで終わりにしないもん」
「…わかってんじゃねーか。でも、それはお前もだろ?」
「……」
だから、やなんだもん。
止めどなく求めちゃうのは、私の方だから。
「なら、仕方ねーな。…襲う」
「なんでそうなるの?!」
「お前が素直になんねーから」
初めから、私に拒否権なんかない。
首筋に唇の感触を感じながら、声を必死に我慢した。
「何我慢してんだよ」
「…だって」
此処、私の自室だもん。
誰が通るかわかんない。
声が聞かれたら、恥ずかしくて生きていけないよ…。
「へー、じゃあ我慢してみろよ」
「ま、政宗…ヤだ」
「やなんだ?そいつは残念だな…」
もう、本当にやだ。
どうして私の身体はこんなにも政宗に従順に反応してしまうのだろう。
すると、政宗は私の顎を片手で抑え、口づけてきた。
角度を変え、深くなっていく口づけに脳が痺れていく。
「ん…ぁっ…」
私は我慢が出来なくて声が漏れた。
ちゅっと音を立てて、政宗の唇が離れると…寂しくなり、涙目になった。
「誰だよ、口づけが苦手とか言ってたやつは」
政宗が呆れたように笑った。
その顔はどこか満足そうで、愉し気に見えた。
「違うもん。口づけが苦手じゃなくて好きじゃなかったの」
「へー、今は?」
「今は…好き」
「何が?口づけか?それとも…俺?」