第4章 キスから始まる〜石田三成〜
三成くんが乱れた私の着物を丁寧に直してくれる。
「三成くんがこんな人だとは思わなかった」
私は頬を膨らませながら言う。
「そうですか?」
「私は想像通りでしたよ」
「どこまでも甘くて美味しくて」
「まるで麻薬のように一度味わったら抜け出せなくなる…」
ふっと笑って、人差し指で私の鎖骨をなぞった。
「また、遊びに来て下さいね」
どこまでも三成くんらしく笑っているはずなのに、いつもと違う。
「貴方だけが、私の集中力を妨げるのですから」
耳元で囁かれた。
私が何も言えずに三成くんを見つめると、
「本当に可愛らしくて困った方です」
「帰したくなくなるでしょう?」
そう言って、三成くんは綺麗な顔を近づける。
「また、しますか?」
きっと始めから、この人の手のひらで踊っていたんだ。
全部、思惑通りなのかもしれない。
そう感じて、私は静かに目を閉じた。