• テキストサイズ

イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第59章 赤い跡をつけて〜明智光秀〜



「教えてくれてありがとう」
「礼を言われるようなことはしてねーよ」
「なんで、わざわざ教えてくれたの?安土城内で色恋の揉め事は面倒だから?」
「なんでだろうな。お前が哀しむのは見たくねぇんだよな。なんでかわかんねーけど」
「政宗も私を妹みたいに見てくれてるんだね」
「なんだよ、人を秀吉みたいに言いやがって」

私はクスクスと笑った。

「それ…秀吉さん聞いたら怒るよ?」
「俺はあんなに世話好きじゃねぇ」
「そうかなぁ?政宗も充分世話好きだし、優しいよ?」

私が笑って政宗を見ると、ちょっと切なそうに瞳を揺らして政宗が私を見た。

「…お前は、幸せそうに笑っていて欲しい。お前の笑顔、好きだから」

ドキリとした。
でも、政宗らしい軽い言葉なのだろう。

ー…無自覚で好きとか言うの、やめて欲しいな。

こうやって女の子たちにも言っているのだろう。
たらし具合は…秀吉さんの比じゃないな。
この様子じゃ、政宗に惚れた子達も大変だろうと心の中でこっそり思った。

私は一呼吸して、笑顔を作って政宗を見た。

「…ありがとう」
「また、なんかあったら相談乗るから…。元気出せよ?」
「うん、平気。そんなに好きになってたわけじゃないから」

…嘘。
そんなのは嘘だ。
でも、そう言うしかない。
政宗が心配そうにするから、私はから元気に振る舞うしかないと思ったのだ。


送って行こうかという政宗の有り難い気遣いを断り、私は一人政宗のお城を出た。



/ 462ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp