第55章 お返しなんて貰っても〜猿飛佐助〜
「佐助、それは心配要らないよ。春だから仕方ないさ」
「信玄様がそうおっしゃるなら平気な気がして来ました」
「…信玄様。また適当なことを」
「幸、うかうかしてられないなぁ。身近に強敵がいたじゃないか」
「……っ!?お、俺には関係ないっすよ」
「ほう?そうか。まあ、俺は敵が多い方が燃えるから構わないがね」
「…お前ら、静かにしないか。まとめて切るぞ」
「謙信様、いつの間に」
「刀、しまって下さいよ」
「もうっ!謙信様。佐助くんは具合悪いんですから、ほどほどにして下さいね」
「………」
「…あ、謙信様が刀をしまってる」
「すっげー葉月」
「さすがだな、俺の天女は」
春は恋の季節というが、これはまた激しい恋模様になりそうだ。
葉月さんの心を射止める人はいったい誰なのだろう?
…そう、俺は思ったんだ。