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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第3章 貴方に触れたくて〜徳川家康〜




そんなある日、私に"初めて恋文をもらう"という、ちょっとした事件が起きた。
城下に布を買い付けに来た時、渡されたのだ。
顔は見たことあるが、知らない人。
よく行くお茶屋の職人さんらしい。

この時代の字が読めない私は、家康に訳して貰おうと文を持って部屋を訪れた。
説明をしながら、家康の顔がどんどん険しくなっていくのを感じ、
怒らせているんだと気づき、私は焦った。

「あんた、ほんとにそんな奴に会いに行くつもりなの?」
「だってせっかく手紙を書いてくれたのに、無下にはできないでしょう?」
「それに、もしかしたら…私と家康みたいに友達になれるかもしれないじゃない?」
私は努めて明るく答えた。

すると、我慢していた怒りが爆発したかのように、家康は私を見て声を上げた。
「あんた、ばっかじゃないの?!」
「それ、恋文でしょ?友達になりたいなんて書いてなかったじゃないか!」
「で、でも話してみたいって…」

「あんたねぇ、男がただ仲良くなりたくて手紙渡すわけないでしょ?下心があるから近づきたいんだよ」
ほとほと、うんざりだと言わんばかりに吐き捨てるように言った。
そして、怒りが収まらない瞳で私を見つめて言った。

「…それに、俺、あんたと友達だなんて一回も思ったことないから」


「え…」


「もう二度と、俺の部屋に来ないで」
そう冷たく私に告げたのだった。

家康に部屋から出され
ピシャッと戸を閉められた瞬間、家康の心の扉も一緒に閉められた気がした。

確かに浅はかだったかもしれない。
でも、そんなに怒らなくても良いじゃない。
私は涙を拭きながら、廊下を歩いていた。

「おいおい、どうした?」
心配そうに駆け寄ってきたのが、秀吉さんだった。




「…そうか」
縁側で一部始終を話すと、秀吉さんは私に向き直った。

「お前が仲良くなりたいって言ってたやつは家康だったんだな」

「でも、怒らせちゃった」
「友達って思ったこと…ないって」

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