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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第50章 抱きしめて欲しくて〜豊臣秀吉〜




寂しいと呟けば、抱きしめてくれる。
私の頬に口づけでくれて。
優しく触れてくれる。
髪を撫でてくれる。
甘い声で名前を呼んでくれる。

でも…。

決して愛されているわけじゃない。



秀吉さんは褥の中でしか、抱きしめてくれない。
時々、口づけをしてくれるだけ。


初めはそれでも良かったのに。
どうして、女の人の方がどんどん本気になってしまうのだろう。
温もりを貰えるだけありがたいのに、心も欲しくなってしまうのだろう。

…彼はそんなの望んでいないのに。

それがわかるから苦しい。
この恋は一方通行で、私だけの想いを乗せたまま走り出してしまった。

…どうしたら良いかわからないの。
頭ではわかっているのに、心がついていかない。

この関係を終わらすにはどうしたら良いの?



「ー…葉月…何か辛いことがあるなら俺に話せよ」

「ー…ん?どうした?」


私が寂しい時、気づいてくれる。
こうやって、声を掛けてくれる。
好きにならない方が難しくて。
離れていく方法が見つからなかった。




私たちの関係は、始まってもいないし終わりもない。
秀吉さんの心がまるで見えなくて。


何度も、もうやめようと思った。
でも、顔を見ると。
あの優しい瞳に見つめられると…

喉から手が出るほどに、勝手に伸びてしまうの。
秀吉さんに向かって。


そして何もかも忘れて、抱きしめられたくなる。




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