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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第49章 気づいてよ〜蘭丸〜




「葉月様〜!おかえりなさい!一緒に行けなくてごめんね?金平糖、買えた?」


帰るなり、蘭丸くんが満遍の笑みで現れ私は絶句する。
あれ…?
なんか…急に元気…?


「ただいま…。あれ?蘭丸くん用事は?」
「もう終わったよ。それより、美味しいお茶菓子貰ったんだ。俺の部屋で食べない?」
「えっ!良いの?行く行く」


久しぶりの蘭丸くんの可愛らしい笑顔にほっとしたのと、部屋に誘われたのが嬉しくて私は食いついた。


「あれ?秀吉、葉月は?」
「もういないぞ。それより、慶次。金平糖って聞こえたんだが知ってるか?」
「俺…しーらねっ!」
「おい、コラ!廊下を走るなっ!」


部屋に向かいながら秀吉さんと慶次の声が聞こえ、私たちはクスクスと笑った。
蘭丸くん、元気になって良かった。


「ねえ、蘭丸くん。どうして急に元気になったの?」
「ん?なんでだと思う?」


…質問を質問で返され、私は頭にハテナが浮かぶ。
ちょっと茶目っ気ぽく笑う蘭丸くんは可愛い。
思わず見惚れてしまうと、蘭丸くんがちょっと首を傾げた。
 

「わかんない?」
「うん…」
「良い話を聞いたんだ。俺も城下にいたから」
「あ、そうなんだ」
「ふふ。良かった。…諦めてくれて」
「…?」
「こっちの話だよ」


そう言うと、蘭丸くんは私に手を差し出した。
私はわけがわからず手を伸ばすと、優しい手つきで私の手を掴んだ。
そのまま「どうぞお姫様」と蘭丸くんがちょっとお辞儀して部屋に入れてくれた。
そして、私の目を見て蘭丸くんが口を開く。

「ねえ、今度寂しくなったら俺を呼んでね。いつでも飛んで行くから」
「…蘭丸くんが言うと本当に聞こえるな」
「もちろん本当だよ。忘れないでね」


また、私の知らない顔で真剣に見つめられ私はドギマギした。
急に男らしい顔をするから、びっくりしちゃう。
私が煩くなる胸に手を当てていると、蘭丸くんの顔が間近に迫る。


「俺は、困って笑ったりしないから勝手に諦めないでね」
「なんの話?」

「ー…いつか気づいてくれるまで、諦めないよ。
俺はね」


呟いた声は私の耳には届かず、「え?」と聞き返す。
蘭丸くんに意味ありげに微笑まれた瞬間、私たちの関係は変わる…そんな気がして蘭丸くんを見つめ返した。


その綺麗な瞳に吸い込まれそうで…。








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