第47章 甘えたがり〜前田慶次〜
「ねえ、頭痛い…」
逢った途端、急に俺の腹に抱きついてきた葉月。
…こ、こいつ。
具合の悪い時だけ猫撫で声を出して甘えてきやがる。
いつも俺が近づくとデカくて暑苦しいとか言って遇らうくせに…。
ズルくね?
「じゃあ、寝れば?寝不足なんじゃねーの?」
「うん…多分そう。夜遅くまで針子の仕事してたから…」
「お前って、ちゃんと寝ないとすぐ頭痛くなんね?ガキかよ」
「だって…」
そうは言いつつも、甘えてくる葉月は可愛い。
それは否めない。
「肩凝ってんじゃねーのか?揉んでやるよ、ほら」
「うん、お願いしようかな」
…すげー素直。
いつもはなんだかんだ言って触らしてもくれないのに。
面食らっていると、葉月が俺の前に背を向けて座り、自分の肩を催促するように無言で叩く。
「早くやれってか」
「違うよ。早くやってね…という意味」
「…一緒じゃねーか」