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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第45章 続・どこか遠くに行く貴方へ〜明智光秀〜



皆で輪になり、怖い話を一人一つして、話終わると手持ちの蝋燭をふっと消す。
そんな、世にも恐ろしい会が始まってしまった。

右隣の家康が、私の姿を見て溜息をついた。


「…葉月、耳を塞ぐのは無しじゃない?」
「参加してるだけ良しとしてよ…。」
「家康、俺が許可している。許してやれ」
「信長様が仰るなら仕方ありません。…な、家康」
「…はあ。なら参加させない方が良いと思うんですけど」

早くこんな会は終わって欲しい。
私は他のことに頭が回らないくらい、怖くて余裕がなかった。
ああ、誰かに抱きつきたい。
でも、そんなこと出来ないし。

すると、左隣の光秀さんが小声で私に囁いた。

「葉月、死んだ人間より生きている人間の方がよっぽど恐ろしいぞ。気にするな」
「…無理ですよ、そんなの」

私は返事をしながら、違和感を感じた。
光秀さんが皆と一緒に参加してる…。
今更ながらに気づき、光秀さんの顔をまじまじと見つめてしまった。
蝋燭の灯だけでも、光秀さんの美しさは隠せない。
余計に妖しげに見えて、魅力が増しているかのようだった。

「…どうした?俺の後ろにナニかいるか?」
「…っ?!や、やめて下さいよ。そういう冗談は」

こんな時だけ参加したのは何故だろう?
秀吉さんを挑発したかったか、ただの気まぐれか…それぐらいの理由しか浮かばない。
そうだとしても、光秀さんが参加してくれるのが嬉しくて笑みを抑えられなかった。
憧れに近いものを感じていた私は、仲良くなれる機会を虎視眈々と窺っていたのだから…。

耳を塞いでいた手をそっと下ろして、光秀さんの側に静かに置いた。
光秀さんなら怖がって着物を掴んでも、きっと許してくれるだろう。
そんな淡い期待もあった。

あの光秀さんが近くにいる。
そう思うだけで、怖さが半減する気がした。
私の心が甘くなっていく感覚が、私を包んだから。

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