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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第45章 続・どこか遠くに行く貴方へ〜明智光秀〜




朝…ふと光秀さんが一人、外を眺めている。
きっと何か仕事のことを考えているのだろう。
私は声を掛けずにただ黙っていた。


ー光秀さんの後ろ姿を見ていると、思い出す。
出会ったばかりの頃はこの姿をよく見かけたからだ。


…そう。
光秀さんはいつだって、愉しげな集まりには参加しなかった。
みんなでお茶を飲む時だって、ちょっとした遊びをする時だって、気づいたらさっと消えているのだ。



ー…「俺は遠慮する。お前らで愉しめば良い」



そう言って、片手を上げて去っていく姿を何度も見た。
そのたびに気になって、どこか寂しくて…。
何度も『一緒にやりましょうよ』と引き止めたくなった。
でも、それを言わせてはくれないまま居なくなる。
それが、光秀さんだった。

でも、あの日だけは違った。


…………

夏の夜、暑さを吹き飛ばす為にみんなで肝試しならぬ怖い話大会をしようと政宗が言い出した。
私は全力で阻止したくなり、叫んだ。

「やだやだっ!本当に苦手なんだよ。おばけとか…っ」


ホラー系の映画、お化け屋敷、怪談話。
ずっと避けて通って来たのに…っ!

お願い、誰か止めようと言って。
私が涙目で秀吉さんを見た。
それに気づき、秀吉さんが眉を下げる。


「まあ…葉月も怖がっていることだし。今回は…」
「ほう?本当はお前が怖いんじゃないのか?臆病者め」
「なっ…、光秀、てめぇ。そんなわけないだろ。じゃあお前も参加しろよ!?」
「…無論だ」
「あーあ、秀吉さんがこうなったら駄目だね。諦めなよ、葉月」
「家康まで…。そんな…」
「葉月様、大丈夫ですよ。わたくしが側にいますから」
「み、三成くん…っ!優しい…」
「泣くことないのに。葉月、そんなに怖いんだ?」
「怖いよ。怖いって言ってるじゃん」

私が涙を拭いながら答えると、みんなの視線が刺さる。
なんとも言えない微笑みを浮かべる皆々に、私は眉を顰めた。


「…ん?なんで、みんなそんなに嬉しそうなの?」
「男は馬鹿な生き物だからだよ…葉月」

一人冷静な家康が頬を掻きながら呟いた。



信長様も参加することになり、そうなるともう私なんて意思の確認もなく強制的に連れて行かれたのだった。


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