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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第42章 どこか遠くに行く貴方へ〜明智光秀〜



私は訳がわからないまま、光秀さんに運ばれている。

こんな風に抱き抱えらていたのか、昨夜の私は…っ。
覚えていないのが悔やまれる。
ああ、なんて勿体ない。

間近にある光秀さんの顔を直視出来ず、目線を外しながら私は声を掛けた。

「光秀さん、昨夜の私は重かったですよね?」

…意識のない人間って重たいのよね。
きっと大変だったに違いない。

「気にするな。今とさほど変わらない」
「…それって今も重いって遠回しに言ってます?」
「いや、ただ単純にお前が重いと言っているだけだ」
「もうっ!じゃあおろして下さいよ」
「…冗談だ。お前は痩せ過ぎだ。もう少し肉を付けろ」

意味がわからない。
なんでこんなに優しくされているのだろう?

「光秀さん、あの…今日から遠方でお仕事なのでは?」
「ああ、それなら諸事情で無くなった」
「まさか…その諸事情って私が絡んでいたりします?」
「なんだ、何も覚えていないのだろう?まるで知っているかのような口振りだな」
「そ、そんなんじゃないですよ…。そんな気がしたんです」

そうよね。
私が泣いたからって信長様が仕事を無くす訳ないか。
考え過ぎよね。
私が一人考え込んでいると、光秀さんがふっと笑った。

「お前のおかげで長期の休みも貰えたしな、ゆっくりするか」
「長期の休み?!…なんで、私のおかげなんです?」
「…ほう。知りたいか」
「知りたいです。あと…家康がみんなには会わない方が良いって言ってたんですけれど、何があったんですか?」
「…成る程な、会わない方が良いか。確かにな」
「納得してないで、教えて下さい」

私が光秀さんを見ると、光秀さんの目が優しく微笑んだ。
その顔に見惚れた瞬間、すぐにまた企む顔に戻る。

「お前のおかげだ。褒美をやろう。何が望みだ」
「褒美…?そんなの、いらないです」
「なんでもしてやろう、お前の望む通りに」
「え…っ、そんな」

私はつい欲深く考えてしまった。
私の望み。
少しでも、光秀さんと一緒にいたい。

でも、それは高望みな気がするから…。


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