第2章 続・朝が来るまで待って〜明智光秀〜
「本当に良いんですか?」
「構わない。区切りの良い所までやれば良い」
そう言って、私の側で横たわった。
わたしが縫い物をしているのを不思議そうに見る。
「前にもこんなことがありましたね。泣いていた私に何も聞かず、そばにいてくれました」
「あぁ…そんなこともあったな。あの時は何で泣いていたんだ?」
あの時は家族が恋しくて泣いていた。
現代が恋しくて…
「いえ、忘れてしまいました」
「そうか…」
本当は気づいているのかもしれない。
でも、気づかないふりをしてくれる。
そんな光秀さんが、私は好きだと思う。
………
「…ふう」
結局、最後まで完成させてしまった。
私は痛くなった身体を伸ばすと、光秀さんが寝ているのに気づいた。
その姿に自然と笑みが溢れてしまう。
起こさないようにそっと布団を掛けようとすると
パシッと手首を掴まれた。
「気長に待つとは言ったが、随分と待たせたな。覚悟は出来ているな?」
言っている意味を理解して私は慌てた。
「でも…私の部屋で、そんな」
「すまないが、嫌がられると余計に燃えるタチでな」
「隅々まで頂くとしよう」
そう口の端をニヤリと上げて私を見上げた。
手が、唇が私を追いかけてくる。
思考が遮断された頭の中で、やっぱり光秀さんの笑顔は、あの日の月にそっくりだと思った。
私は今日、光秀さん前ではしたなくなっていくんだわ。
どうか…こんな私も受け止めて下さい。