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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第2章 続・朝が来るまで待って〜明智光秀〜


夜更け…

布団に入っても悶々としてしまい、眠れそうもない。
そうだ…縫い物でもしよう。
もう寝るのを諦めて、私は針と糸を取り出した。
チクチクと一針一針縫っていく。

「まだ起きているのか?」
廊下からよく通る、その声。
戸を開けると、一番会いたくない人の姿があった。

「光秀さん…」
「遅くまでご苦労だな」
「いえ…」 


「どうした?」
そう言って、優しい目でまっすぐ私を覗きこんだ。



「昼間会っていた女性のことは聞かないのか?」





「…聞きたくありません」


「参ったな。お前を怒らせたかったわけじゃない」

困ったようにそう言われ、胸が痛んだ。

「葉月…」



優しく名前を呼ばれて心がキュッとなる。
本当にずるいな。
そんな風に呼ばれたら、
私が喜ぶのをこの人は知っている。

昼間、私に見られたのも気づいていたのね。
私がそれで悩むのも、こうやって塞ぎ込むのも。

心底自分が面倒くさい人間に感じた。
何を怒っているのだろう。
私にはそんな権利ない。

私には…





「光秀さん…私、上手くできません。光秀さんみたいに大人の付き合いが出来ないんです」
きっとやきもちも妬いてしまうし…と私は呟いた。


こうやって光秀さんに迷惑かけちゃうだろう。
この人なりに急いで弁解しに来てくれたのに。

下を向いているから、涙が溢れそうだ。
でも、自分の手を見ながらしか話せない。


「馬鹿だな」




「その度にこうして逢いに来る。俺が誤解を解けばいい」


光秀さんは、ふっと笑って優しく私の手を取った。

「少しは信じてくれないか?」



「誤解…ですか?」
「あぁ、なんでもない」
「本当に?」
「お前に信じて貰えないのはしんどいな…仕方ないが」

「光秀さん…」


「大事に思っているつもりだ、俺なりに」
そう言って、私の手を取った。
その上に光秀さんが手を重ねる。


嘘みたいに心が晴れていくのを感じた。


全部を知るのは難しい。
私の目の前にいる光秀さんを信じて、たくさん知っていけば良い。
こんなにも大事に思って貰えているのだから…。


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