第41章 恋の病にかかったら〜石田三成〜
三成くんの言っている意味が直ぐにわかったけれど、何と答えればいいかわからず自分のおでこを三成くんの胸に押し付け、顔を隠した。
そして、三成くんの着物をそっと掴む。
「だめ…だよ、三成くん」
「…葉月様」
「この先を経験したら、もっと好きになっちゃいそうで恐いよ」
三成くんは困ったように笑い、
「そんな可愛らしいことを言ったら駄目ですよ」
と、耳元に唇を当てて甘く囁く。
私は、急にそこだけ熱を持った気がしてこそばゆくなる。
そして、三成くんは安心させるように言った。
「大丈夫ですよ。もしそうなったとしても、葉月様の想いが私のそれより上回ることなどあり得ません」
「そんなことないもん。私の方が三成くんのこと好きだもん、絶対。
だから、これ以上好きになったらおかしくなっちゃうと思う。それが分かるから恐いの」
ただでさえ、最近自分の想いを持て余しているというのに。
これ以上なんて、想像を絶していて私が私じゃなくなりそうだ。
でも、そんな私の心配を他所に、三成くんがクスッと笑った。
「葉月様、大事なことをお忘れですよ」
「…え?なに?」
「始めに想いを伝えたのはどちらでしたか?」
「……それは、三成くんからだけど」
私が恥ずかしそうに答えると、三成くんが頷く。
「逢瀬に誘ったのも、恋仲になって欲しいと言ったのも私です」
「でも、それはそれ。今は関係ないもん」
「そうでしょうか?」
「そうだよ」
私がムキになると、三成くんが首を傾げて静かに微笑んだ。
「では…何がそんなに恐いのですか?
私はもっと好きになって頂けたら嬉しいですし、貴女のことなら何でも知りたい。受け止めたいですよ。
だから、教えて頂けないでしょうか?…貴女の不安がなくなるなら、私はどんな事でもしてあげたいのです」