第41章 恋の病にかかったら〜石田三成〜
三成くんのあの優しい微笑みが、次の瞬間にはもう私に向けられないんじゃないかって。
明日には心変わりするんじゃないかって不安になる。
だから、毎日確認したくなる。
『私のことを好き?』って。
…でも、そんなこと思っているなんて言えないし、彼氏の立場だったらどうかなと思う。
だって重いし面倒だもん。
私って面倒くさい人間なんだろうか。
ちょっと捻くれているもの…家康ほどじゃないけれど。
だからこそ、素直で優しい三成くんに惹かれたんだろうと思う。
誰に対しても柔らかい笑みを向ける、あの人が。
人を惹きつけて惑わせる、あの微笑み。
甘ったるい蜜に吸い寄せられた蝶々のように、一度味わったらもっと欲しくて堪らなくなる。
それが甘過ぎて、砂糖菓子のように癖になってしまうんだ。
その味をどっぷり知ってしまった私は、自分だけが味わいたいだなんて、お菓子を一人占めしたい駄々っ子のように思っている。
こんな想いを知られたら、心底呆れられるのかもしれない。
でも、三成くんなら許してくれるのだろうか。
そうだとしても、言えやしない。
万が一の確率だとしても嫌われたくはないもの。
三成くんが知っているのが表面上の私だとしても。
その私を好きなら、そのままずっと好きでいて欲しいから。
夜に一人でいると余計なことまで考えちゃって
三成くんが私の前からいなくなったら…とか。
さよならと言われたらどうしよう、とか。
そんな場面が急に浮かんでしまい、大きな不安が波のように襲って私を飲み込んでいく。
…恋仲になって、まだ間もないのに。
だから、今すぐ違うよと否定して欲しい。
夜更けにそんなことばかり考えてしまう私に、抱きしめて違うって、ずっと好きだって言って欲しくなる。