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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第39章 待ち合わせは、時間通りに〜武田信玄〜




待ち合わせ場所で立って待つ、信玄様を見つけた。

他にも人は大勢いるのに、信玄様しか目の中に入って来ない。
他が霞んで見えるくらい、久しぶりに見る信玄様は格別にかっこ良かった。

ただそこに立っているだけで、様になるな。
堅いの良さや長身が目立つ。
もちろん顔の造形の美しさも。
常に微笑みを絶やさないあの唇が、私の名前を呼んでくれる。
そう想像するだけで、胸が張り裂けそう。


…恋をしている。
本当に恥ずかしくなるくらいに。

私がゆっくり近づいていくと、信玄様はいつものように手を上げる。
想像通りの仕草に私は笑みが抑えられない。
そう、この瞬間を待ってたの。
信玄様の柔らかい焦げ茶の髪の毛が風に揺れて、私の心ようにふわっと踊った。

目に焼き付けたい、信玄様のこの姿を。
心にもしっかりと焼き付けて…いつでも思い出せるように。


「久しぶりだね、葉月」

信玄様の、この甘さを含んだ落ち着いた声が好き。
毎日でも聞いていたいくらい。
この声が好き。

「はい。お久しぶりです」

私が逢えた嬉しさで胸がいっぱいになっていると、信玄様は柔らかく笑う。
私は信玄様の大人の対応にいつも見惚れる。
好きの気持ちが募り過ぎて涙が出そうなことにも、この人には気づかれそうでひやひやしてしまう。


「これ、お土産だよ」

「え、私…何も用意してないです」

しまった、何か私も買っておけば良かった。
あんなに時間があったのに。
なんて気が利かないのだろうか、私は。

信玄様がそのお土産を手にしたままになってしまい、私がなかなか受け取ろうとしないので困ったように笑う。


「俺が勝手にしたことだから、気にしないでいいさ。受け取ってくれると嬉しいな」



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