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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第36章 佐助の策略〜真田幸村〜



はあ、ムカつく。
店番をしながら、俺は一人舌打ちをした。
佐助がただ黙って俺を見る。

「……なんだよ」

俺が突っかかると、佐助が俺を憐れんだ目で見る。
またその目かよ。
勘弁してくれ。
佐助は俺が苛立っていると、何かを含んだ目で俺を見る。
ここん所は、ずっとそうだ。
言いたいことがあるなら言えよな。

俺は、最近イライラしてばかりだ。
なぜかはわからない。
葉月のせいだ。
あいつを見るとすげームカつく。
それだけはわかる。
でも、なぜこんなにいつも腹が立っているのかはわからなかった。

「幸村…今日は葉月さん来ないと思う」
「は?別に待ってねーよ」
「…なら、別にいいんだ。でも、そんな顔してると客が寄り付かないよ。無表情と仏頂面のコンビなんて」
「これでいいか?」

俺は歯を見せて笑顔を作った。
佐助はその顔を見てギョッとする。

「…ごめん。さっきのでいい」
「なんでだよ」
「いや、目が怖くてよけい不気味だ」
「悪かったなっ!」

俺が腕を組んでそっぽを向くと、佐助が目だけで笑った。


「幸村って葉月さんが好きなのか?」
「………はぁ?!」

俺が声を上げると、佐助がまた静かに目だけで語りかけてくる。
違うなら違うと言ってみろ。
そんな感じだ。

「ちげーよ。てか、葉月のことなんて興味ねぇよ」
「ふーん。そうか。じゃあ葉月さんに好きな人がいるらしいけれど、幸村に言う必要ないよね。興味ないんだから」
「なっなんだよ、その話」
「おやおや?興味ないのでは?」

佐助のあからさまな棒読みの言い方にムカつきながらも、気になる気持ちは抑えられない。

「それ、誰だよ。お前知ってんのか?」
「あー。まあ」
「教えろよ」
「…やだ」
「なんだよ、それ」
「だって、興味ないんだろ?葉月さんが何処ぞの誰といちゃこらしても、幸村は何とも思わないんだろ?」

「んなわけねーだろ!俺はあいつが気になって仕方ねーんだよ!」

そうだ、だからこんなにイライラするんだ。
わかっていた。
でも、どうすればいいかわからなかった。



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