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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第35章 好きだから・後編〜明智光秀〜



「ねぇ、家康」
「なに」
「私、現代に帰らなくて良かった…」
「あぁ、そう。それは何より」

いつも通りの家康のこの反応も、私は堪らなく好きだ。
そう言いながらも、毎回私のつまらない話を聞いてくれる。
優しいなぁ、本当に。

「私、今ね。めちゃくちゃ感動しているの」
「…ふーん」
「ハグしたいくらい」
「…はぐ?」
「して良い?」
「そう言われても、それが何かわからないし…って!ちょっと何すんの、あんたっ」
「家康〜!ありがとうっ!」

私が家康に感謝を込めて、抱きしめると家康は真っ赤になって抵抗した。
私は今、私の大切な人みんなに抱きつきたい気分だ。
それぐらい、久兵衛さんの言葉は嬉しかったのだ。
それが真実じゃなくても、あんなに側にいる久兵衛さんが言ってくれた言葉だから。

✳︎✳︎

「おぉ、久しぶりの城下はどうだった?家康、ありがとうな」
「秀吉さん、今は葉月に近づかない方が良いですよ」
「…家康、何言ってるんだ?」
「俺は忠告しましたからね」

そう言うと、家康は不貞腐れたように顔を背けた。
すると、すぐに葉月が両手を広げながら小走りで秀吉に向かって来た。

「秀吉さーん!」
「おかえり、葉月。大丈夫だったかっ…?!」
「秀吉さん、いつもありがとう」

葉月に抱きしめられ、固まる秀吉を冷ややかに家康は見つめる。
「…あーあ。だから言ったのに」

私は秀吉さんにも感謝してる。
あの時、とても心配してくれたもの。
城下に出ても良いと許可してくれたのも秀吉さんだった。
あぁ、秀吉さんのおかげで良い話を聞けたのだから。
こんなんじゃ足りないくらいだわ…!

「へえ。こんな秀吉さん初めて見た。意外と純情なんだな」

未だに固まって動けないままの秀吉を見ながら、家康が呟く。
すると、三成か不思議そうな顔をしながら歩いて来た。

「あら?皆さんお揃いで。何してらっしゃるんですか?」
「こういう時に現れるなよ、三成。…しかも光秀さんまで」
「これはこれは…話は本当のようだな」



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