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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第33章 好きだから・中編〜明智光秀〜



「葉月、どうした?」
「いえ、ちょっと寒いだけです」
「…ほう。なら温めてやらねばな」
「え…」

光秀さんは布団の中に入ってくると、私を後ろから抱き寄せた。

「これで温かいだろう?」
「……あ、はい」
「それにだな。その様に泣くと明日の分の涙が無くなるぞ」
「…気づいてたんですか?」
「当たり前だ。お前は肝心な所で素直じゃないんだな」
「そうなんです。可愛くないですよね、私」

私が自虐気味に笑うと、光秀さんが静かに首を振る。

「いや、その逆だな」



「…葉月、俺はお前が可愛くて仕方ないよ」



「光秀、さん…」
「勝手に諦めようとしたり、泣いたりするな」

諦めなくていいんですか?
私、このまま好きでいても…?

「ありがとう、ございます」
「変な奴だな、お前は。礼を言う必要はない」
「抱きしめて貰えて、嬉しいんです。昨日の分も、お礼が言いたくて」

私の言葉に、いつもちょっと呆れながらも笑ってくれる。
そんな、貴方だから好きなんです。

「…あの、光秀さん。私が眠らなければ、帰りませんよね?」
「ずっと起きているつもりか?」
「はい」

背中から盛大なため息が聞こえる。
やれやれという顔をした光秀さんの顔が浮かぶようだった。

「わかった。朝まで居てやるから、眠れ」
「本当ですか?勝手に帰りませんよね。約束ですよ?!」
「…あぁ。約束しよう」

私は、光秀さんに向き直ると自分から抱きついた。
光秀さんの胸に飛び込むと、もっと温かさを感じた。

「光秀さん、だーいすき」

私がくっつくと、光秀さんの身体が急に硬くなる。
黙ったままの光秀さんを見上げようと顔を上げると、ぐいっと光秀さんに顎で頭を押される。

「イタタタ…」
「性悪娘、早く寝ろ」
「はーい」
「全く、油断も隙もない奴だ」

しばらくすると、くうくうと寝息が聞こえ…光秀はがっくりとする。

「またあっさり眠るのか、お前は」

光秀は昨日と全く同じ状況に苦笑するしかなかった。
ただ違うのは、がっちりと光秀を抱きしめたまま、葉月は幸せそうな寝顔を浮かべている。

「やれやれ。俺が眠れそうにないな」



ー…まだまだ物語は始まったばかり。
もしかしたら、貴方を振り向かせられる日も来るかもしれない。
そう思っていてもいいですか?

光秀さん…




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