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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第29章 可愛い男の子〜蘭丸〜




気がついた時には唇が奪われていた。
この綺麗と可愛いを奇跡的なバランスで併せもっている、この美少年に。


「…葉月様って俺のこと、男だと思ってないでしょ?」

唇を離し、いつもより低い声で甘く囁く。

「俺ね…こう見えてもすごく男なんだよ。葉月様にだけ特別に教えてあげようか?」

そう言いながら、蘭丸くんの手が私の首筋をなぞる。

「蘭丸くん、ちょっと待って」
「葉月様のことはね、だーいすき。だから、嫌がることや痛いことはしないよ。大丈夫だから…俺に任せて」

私の唇に人差し指を当て、茶目っ気たっぷりに言われ、絶句する。
そして、ふっと妖しげに笑うと私の唇を再び奪ったのだ。

聞いてない。
全く聞いてないよ。
君、ただの可愛い男の子じゃなかったの?!



大きく輝くような瞳にすっと通った鼻筋、なめらかでシンメトリーなフェイスライン。
笑顔が際立つ圧倒的な美形だ。
小ぶりな唇は、口角がキュッと上がっていて、常に笑っているかのように愛らしい。
肌はつるんとむき卵のように白く艶やかで、何より透明感がある。

蘭丸くんは女の私より格段に美しい。
私たちは姉妹のように友達のように、いつも一緒にいた。
私は、こんなに懐いてくれる蘭丸くんが可愛くて仕方なかったのだ。

「蘭丸くん、可愛いっ!」
私は思わず抱きしめてしまう。
その馴れ合いを見て、苦言をしたのは家康だった。

「…やめときなよ」
「なんで?」
「なんでって、あんた。蘭丸は男だよ?可愛い、可愛いって。嫌でしょ」

私は蘭丸くんの笑顔を思い出し、首を振った。
「蘭丸くん、嫌がってないよ。いつも」

そう言い返され、家康は苛立ったように眉を顰めた。
「あいつ…多分、三成よりタチが悪いと思うな。これは、俺の勘だけど。…気をつけなよ、葉月」
「え?あ、そっか。わかった」
私がへらへら笑うと、家康が小突く。
「全然わかってないっ」

…今、家康の言葉が沁みる。
ごめんなさい。
私が間違ってました。


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